コーヒーの愉しみ方 -ナチュラル-

Guide 6
今回は、生産処理プロセスで選びコーヒーを愉しむ。
ナチュラルを取り上げます。
ナチュラルコーヒー

生産処理プロセスとは

生産処理プロセスとは、コーヒーの木に実るコーヒーチェリーから種子(コーヒーの原料の生豆)を取り出す工程のことです。

なぜ生産処理プロセス?

コーヒーの風味を構成する大きな要素の一つ。
そのプロセスは様々な方法があります。 今回は、代表的なプロセスのひとつ、「ナチュラル」コーヒーの愉しみ方を紹介します。

ナチュラルとは

コーヒーの木に実るコーヒーチェリーを摘み取り、そのままの状態で乾燥させる方法。

生産処理プロセスの中で最も工程がシンプルですが、実は最も気を遣う方法です。 なぜなら、ウォッシュトなどと違い、乾燥させなければならない種子(生豆)は、外皮や果肉といった被覆物の中にあるからです。

高品質のナチュラルコーヒーをつくり上げている生産者たちは、ただ干す、乾燥させるのではなく、 コーヒーチェリーを乾燥させる過程で、その乾燥度合い(水分値)に合わせて熱の加え方を変えています。

また、次の乾燥度合いに達したら、休息させる。
乾燥、休息、乾燥、休息…といった細かな調整が、品質の高いナチュラルコーヒーにつながります。

ナチュラルコーヒー
ナチュラルコーヒー

ナチュラルコーヒーは甘い

中には味が甘いコーヒーがあるかもしれませんが、このプロセスをとることで、味が甘くなる、甘さが強くなるわけではありません。 果肉などに含まれる糖類は乾燥過程で種子には入らないからです。

他のプロセスより甘いと感じるのは、ナチュラルプロセスで生じる甘い風味によると思います。 その甘い風味が、コーヒーをより甘く感じさせます。

余談、バニラは甘い風味がありますが、味が甘いわけではありません。バニラアイスが甘いのは、砂糖によるものだからです。

ナチュラルコーヒー

ナチュラルコーヒーはどのような風味?

一般的にナチュラルプロセスにより生じる風味は、ウォッシュトなどよりも、外皮、果肉がついた状態が長いことから、独特な風味特性があるコーヒーに仕上がると言われています。

表現すると、ベリー系の熟した果実の印象、ドライフルーツのような印象、また、ワインのような印象などがあります。

ある生産国を訪問した際、優良且つ複数の地域でコーヒーを生産している生産者からウォッシュトプロセスで際立った風味特性のあるコーヒーが生まれない地域は、ナチュラルプロセスを選択すると聞きました。

それほど、ナチュラルプロセスは風味に影響を与えるということ。

豆本来の特徴に、生産処理プロセス由来の特徴が加わり、相乗効果、または調和することで、さらに魅力的で複雑な風味のあるコーヒーを生み出す。
これがナチュラルコーヒーの神髄なのかもしれません。

生産処理プロセスは、コーヒーを生産する環境に合わせる。また、旧宗主国のコーヒー生産に対する考え方などにより、生産国ごとで決まっていました。
近年は目的によりプロセスを選択する生産者が増えています。 その中でも特にナチュラルプロセスコーヒーは増えているように思います。

ナチュラルといっても、生産者の理念の違い、品種の違い、環境の違いなどにより、その方法には違いがあります。

その違いが多彩な風味のナチュラルコーヒーを生み出しています。


3つのナチュラルコーヒーをお楽しみください

現在(2024.02)、ナチュラルコーヒーは3種類。

ブラジル セルトンジーニョ

エチオピア イルガチェフェ G.1 ハロベリチ

エチオピア シダモ G.1 ナンセボ

セルトンジーニョとハロベリチは、シティローストでも少し深めで、ほとんど同じ焙煎度合い、ナンセボはそれらより深いフレンチロースト。

前者2つは、キャラメルや焼き菓子のような印象(セルトンジーニョの方がより感じる)があり、後者はより深みのあるチョコレートのような印象があります。

これらは焙煎度合いによるもの。
それらをベースに、それぞれが持つ個性、風味があります。
果実でも、黄色やオレンジ色の果実なのか、赤色系の果実なのか、黒色系の果実なのか?
1種類ではなく、いくつもの種類を感じるかもしれません。
そこからさらに絞り込めるといいですね。

また、その果実に手を加えたようなドライフルーツやコンポートのような印象があるかもしれませんし、赤ワインのような印象があるかもしれません。
さらに、これら以外にも個性を感じるかもしれません。
1種類より2種類で比較しながら飲むと、表現が出来なくとも、それぞれが持つ個性、違いを感じていただけると思います。