コーヒーの愉しみ方 -コーヒーの甘さ-
基本味5つのひとつである甘味
味覚の発達は、生命の維持や成長に必要なもの、不必要なものを見分ける、食物の安全性を評価するためと言われています。
基本味5つのひとつである甘味。
それを感じる糖分は、人体活動に必要なエネルギーの源。
私たちはそれを有していないので、果物などから摂取しています。
この糖分は、植物が自身のエネルギーの源として、つくり出し、蓄えたもの。
その糖分は果物に良く含まれ、その成分の糖類は、果糖、ショ糖、ブドウ糖などがあり、含まれる種類、その含有量、構成比は、果物の種類によって異なります。
また、糖類は、一般的に果物の成熟に伴って増大していきます。
良く熟した果物は甘いですよね。
コーヒーの場合
例に洩れず、コーヒーの木に実るコーヒーチェリーも成熟するにつれて、糖類の含有量が増えていきます。
果物と同様に、実であるコーヒーチェリーを直接食べたり、絞った液体を飲んだりするのであれば、糖類の含有量が多い方が甘く感じますが、コーヒーの場合は違いますよね。
コーヒーの原料は、実ではなく種
それを生豆やグリーンビーンズと呼びます。
この生豆(種)も、コーヒーチェリーの成熟が進むにつれて糖類は増えていきます。
が、生豆を直接食べません。その生豆は焙煎されます。
生豆に含まれる糖類(ショ糖など)は、焙煎しても残る?
ほとんど残りません。
ショ糖は焙煎すると、コーヒーの色、香り、酸味のもととなります。
熟度が高いコーヒーチェリーの場合は、焙煎による色づきがよく、香りや酸味の豊かなコーヒーになります。
従って、熟度の高いコーヒーチェリーを摘み取ることは、大事なこと。
コーヒーの甘さは謎
それではなぜコーヒーに甘さを感じるのでしょうか。
コーヒーの甘さは謎と言われています。
「甘味」は舌で知覚するもの。
でも、甘味の成分はほとんどないとなると…。
甘さの印象
原料を評価し、買い付けする際や焙煎豆の品質を確認する際に行う「カッピング」では、コーヒーを口に含んだときに広がる香り(風味、口中香)から感じる甘さの印象を甘さとしています。
この甘い印象は、コーヒーに多く含まれるチョコレート、キャラメル、フルーツなどの甘さを連想させる芳香成分によるもので、コーヒーごとにその種類は違います。
また、甘さの印象が、口に含んだ瞬間から感じるもの、飲み込んだ後から広がってくるものなど、様々なタイプがあります。
因みに、苦味の強いイタリアンローストのブレンド野生の鼓動にも、甘い印象があります。
それぞれのコーヒーがもつ、それぞれの甘さをお楽しみ下さい。